パン・ド・ロデヴというパンを知っていますか?
ルヴァン種を使った、水分量の多い高加水のハードパンです。粗く大きな気泡と薄い膜が特徴です。
皮はパリッとクラムはもちもちとしていてくちどけが良く、トーストするとふわっとかりっとした食感になります。
酵母の風味と粉のおいしさがダイレクトに感じられるパンです。
どんな料理にも合うし、このもちもち食感が日本人好みな感じなので、これからもっと普及するパンではないかなーと思います。
でも、高加水のハードパン…ハードル高そうですよね。
私も高加水に苦手意識があって、なかなか挑戦できませんでした。
しかし!ちょっとしたコツでぐぐっと作りやすくなりました!
今回はそのコツをご紹介しますので、皆さんもぜひ試してみてくださいね。
ロデヴはバシナージュという製法をします。これは足し水のことです。
一度生地捏ねてグルテンがつながったものに、さらに水を追加するのです。
なので、捏ねてる生地はトロトロでスープみたいですが、しっかりグルテンがつながると手にあまりくっつきません。
ルヴァンリキッドも多く入れるので、生地もまとまりやすいです。
焼き立ての冷めたては、本当に格別のおいしさ!これは1個まるまる食べれます!笑
パン作り上級さん向けですが、ぜひ作ってみてください。
パン・ド・ロデヴのレシピ
パン・ド・ロデヴの材料 1個分 加水100%仕込み
- ★全粒粉 70g(35%)
- ★準強力粉 30g(15%)
- ★水 100g(50%)
- 準強力粉 90g(45%)
- ライ麦全粒粉 10g(5%)
- きび糖 6g(3%)
- 塩 4g(2%)
- ルヴァンリキッド 60g(30%)
- 水 70g(35%)
- ドライイースト 微量(小さじ1/8の半量の半量なので、小さじ1/32程度)
- ●足し水 30g(15%)
※ルヴァンリキッドの作り方はコチラ↓(別タブで開きます)
私は、全粒粉は「キタノカオリTA85」、オートリーズの準強力粉は石臼挽きの「ロイヤルストーンタイプF」、本捏ねの準強力粉は「E65」、ライ麦全粒粉は北海道産のものを使用しています。
・()内はベイカーズパーセント。粉の全体量でベイカーズパーセント100%としています。
・水分は、夏場は冷たく、冬場は人肌程度に温めておきます。
・季節や湿度によって粉の吸水率が変わります。また、粉の種類が変わっても吸水率も変わります。水分は一度に入れず2~3%調整用に残して、様子をみながら足しましょう。
・サフ、とは、市販のドライイーストです。予備発酵不要のものです。
微量のサフを入れるのは、高加水の生地を立ち上げるのに必要だと思います。
私のパン焼きは自家製酵母のみで作ることが基本ですが、今回みたいな難しい生地(高加水でスープみたいなとろとろ生地)には、サフに少し力を借りて、より失敗なくストレスなく美味しいパンを焼くことも大事だと思ってます^^
それでも使いたくないな…という方は省いてくださいね。
※ベイカーズパーセントの詳細はコチラ↓(別タブで開きます)
1、オートリーズ
★の材料をボウルに入れ、ゴムベラで粉気のなくなるまで混ぜる。
室温(18~20℃)で9~12時間寝かせる。
捏ねてはいなくとも、長時間オートリーズをとることでグルテンがつながる。
全粒粉を少し多めに配合するので、しっかり水和させることで舌触りも良くなり、フィチン酸の問題も解決します。
夏場は室温が高いので、冷蔵庫に入れた方がよいです。
2、捏ね
ルヴァンリキッドと水以外の材料をボウルに入れざっと混ぜ合わせてからホームベーカリーに入れる。
ルヴァンリキッドと水を合わせ、ホームベーカリーに入れ、9分捏ねる。
捏ね終わった生地は、さらにグルテンがつながっている。
3、足し水(バシナージュ)
分量の足し水をホームベーカリーに入れ、ラップをふんわりかけて、さらに8分捏ねる。
飛び散り防止、掃除が大変!笑
水分が生地に入ってとろとろな状態
捏ね終わった後は、グルテン膜もさらにうすーく伸ばせるようになる。
4、一次発酵+パンチ
28℃で1時間発酵させたのち、パンチ(1回目)を入れる。
生地の下の方からすくって重ね、向きを変えてまたすくって重ねる、を繰り返す。
何回か繰り返していると、柔らかかった生地に張りが出てくるので、そのくらいまで。4~6回程度。
パンチ後、再度28℃で1時間発酵させる。
更にパンチ(2回目)をする。
1回目より生地が空気を含んで発酵しているのがわかる。
パンチ後、再度28℃で1時間発酵させる。合計で3時間発酵させ、生地は1.5倍程度になる。
5、成型
作業台と生地にたっぷり粉を振る。
ボウルを逆さに返して、作業台に生地を取り出す。
上から1/3、下から1/3を折りたたみ、左から1/3、右から1/3も同じように折りたたむ。
どうしても生地がべたついて扱いにくい場合は、一度冷蔵庫で30分ほど冷やしてみてからチャレンジしてみてください。
パンマットとバットを用意。パンマットにたっぷりと打ち粉をし、バットに入れる。ちなみにパンマットは切って使ってます。
生地を両手で持ち上げ、パンマットに乗せる。とじ目は上のままでよい。
6、ホイロ(2次発酵)
常温で20分程度置く。
生地が柔らかく空気を含んでいるので、あまり長いホイロはとらない。
オーブンはあらかじめ300℃(最高温度)に予熱しておく。
その際、上段には、石(またはタルトストーン)を敷き詰めた天板をいれ、一緒に予熱する。
※オーブンはホイロが終わるまでに予熱が終わるように、早めに予熱をしておくこと!
7、焼成
バットからパンマットごと生地を取り出し、オーブンシートに滑らせるようにひっくり返す。
ここで勢いよく生地を移動させてしまうとせっかくのガスが抜けるので、くるっと転がすようにオーブンシートに移す。
生地の表面にクープを入れる。
予熱が完了したオーブンに、上段の天板にお湯を適量いれ(やけど注意!)、下段に生地を入れる。
温度を250℃にし、10分焼く。スチーム機能がある場合は8分スチームをかける。
10分後に上段の天板を外し、続けて18分焼く。
途中、焼きムラ防止に天板の上下を入れ替える。
オーブンの開閉はスムーズに!やけどに注意!
焼き上がり♪
不揃いな粗い気泡、薄い膜、カリっとしたクラスト!
色んな料理に合わせてみてくださいね♡
インスタのDMで質問いただいたので、こちらに転記します。
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今回ブログを拝見して、ロデブ作り始めました。
全粒粉はキタノカオリ全粒粉、準強力粉はtypeER ライ麦全粒粉は、北海道産のものを使用したのですが、記載された通り量でオートリーズをしても生地がつながりませんでした。(仕事の関係もあって約16時間くらいオートリーズ、室温だとだめではないかと思い冷蔵庫保存)その後本捏ねしてみたのですが写真のようになるわけもなく、、でした。
何が原因なのでしょうか。自分で調べたりした範囲では知識不足もあってわからないこともおおいです。
考えたことは、オートリーズ置きすぎて酵素が働き過ぎでしまったのか、それとも水の吸水がオーバーだったのか、、と思ったのですがどうでしょうか。
本当にお忙しいところすみません。よろしくお願い致します
質問ありがとうございます。
ロデブの生地がつながりにくいとのことですね!
オートリーズは、長時間になるときは冷蔵がいいですので、おっしゃる通りだと思います。
室温長時間だと発酵しちゃうので^^;
オートリーズだけで、ある程度つながりましたか?
サイトでもオートリーズ後の生地を伸ばしている写真があると思いますが、あのようにつながると残りもつながりやすいと思います。
それでもつながらないなら…酵素かな?ちょっと自信ないですけど^^;
粉を変えてみるといいかもです。
生地が引っ張っても千切れるようなら、捏ね不足です。
何で捏ねていますか?
HBであれば、時間を長めにしてしっかり生地がつながるまで捏ねてください。
キッチンエイドなどをお使いでしたら、フックよりもビーターが良いです。
面積の広い羽根で捏ねる方が、水分の多い生地はグルテンが繋がります。
ロデヴはとにかく、グルテンが繋がらないと良い生地にならないですよね。
難しいようなら、ちょっと加水を減らしてグルテンが繋がりやすくなるようにやってみてください。
いいパンが焼けますように。参考になれば幸いです!
お返事ありがとうございます!こちらに掲載されていたのですね~!
どこかなーとサイト内をさがしていました。
その後何度か挑戦しコネ不足あることがわかりました!
ケンミックスのミキサーだったのですが、あまり引っかかっておらず、それでも捏ねてると思っていました。
HBで同じようにしたところ出来上がりました。オートリーズ、バシナージュの際は記載の時間よりも生地の状態を見ること、粉によって吸水性が全く違うことに気づきました。
本当に勉強になりました
また参考に色々作らせていただきます!
またわからないときは質問させてください★
ロデヴのレシピの焼成はガスオーブンですか?
私はガスオーブンしかないのですが、
焼けますか?
石は下段より上段の方が良いのですか?
いつも楽しく拝見させて頂いています。
わかりやすか、親切な説明で有難いです。
今回も初めてな挑戦につき、
宜しくお願いします。
コメントありがとうございます!
うちは家庭用電気オーブン(2009年製パナソニックビストロ)です。
レシピはすべてこのオーブンを元にしているので、ガスオーブンの場合は5~10℃温度を下げてもいいと思います。
ガスオーブンでもロデヴは焼けるはずですが、うまく焼くコツなどはネットで調べた方が良い方法があるかもです(^_^;)
お使いのガスオーブンで石を入れやすいのが下段のほうでしたら下段でいいと思いますよ。
(うちのオーブンの場合、熱源が上になるので高さのあるパンを上段で焼くのは難しく。。)
参考になれば幸いです!
はじめまして^ ^
色々なレシピ参考にさせてもらっています!
今までポーリッシュ法、手捏ねでロデヴを焼いていたのですがこちらのレシピに挑戦してみようと思っています!
HBでの捏ね速度が、混ぜ合わせの超低速、低速、中速、高速の4段階あるのですが、どれくらいが良いのでしょうか?
コメントありがとうございます!
HBの捏ね速度が4段階もあるなんて羨ましい限りです^^
通常の速度がどこにあたるのかわからないですが、低速~中速で捏ねて、最後の2分は高速で捏ねるといいかなーと思います。
加水の多い生地は、最後に高速で捏ねるとぐぐっとつながります。
あとは、様子を見ながら調節してみてくださいね。
上手くいきますように!
こんにちは(o˘◡˘o)ロデヴ、2回挑戦しました⭐︎成形で生地をうまく扱えません。下手なだけかもしれませんが、作業台や手がベタベタになってしまい成形して、カゴまで運べないくらいです((̵̵́ ̆ͯ̑͟˚̨̨̩ ̆ͯ̑)̵̵̀) 1次発酵が足りない可能性など、ありますか?
ルヴァンリキッドは挑戦しはじめたばかりです。もしかしたらルヴァンリキッドが弱いのでしょうか?
生地は1.5倍で表面はポコポコ気泡が、底面は細かい気泡があるかんじです。焼成後のロデヴ添付します。
さり様
コメントありがとうございます。
お返事が遅くなってしまい、申し訳ございませんm(__)m
ロデヴ、焼いてくださってありがとうございます!
ベタベタして扱いにくいとのことですが、ロデヴのような高加水生地は、パンチなどは水を手につけて扱うとやりやすいですよ。
あとは、この時期は特に生地を冷やしてから成型すると扱いやすいと思います。
最後の1回のパンチのあと、冷蔵発酵にしてみるといいかもです。その場合、生地の様子を見ながら時間を長めにしてくださいね。
断面を見る感じでは、下が詰まっているので下火が弱いのかな?という印象です。
あとは、成形で触りすぎてしまっているかもしれませんね。
生地のグルテンをしっかりつなげていれば、それほどべたつきもないと思います。
使っている粉によって仕上がりは大きく変わりますので、その点もご注意くださいね。
ルヴァンリキッドの発酵力は、種継ぎするほどに安定します。
しっかり継いであげてくださいね。
ルヴァンで、良いロデヴが焼けるようになるといいですね^^
写真添付します(o˘◡˘o)
返信ありがとうございます(o˘◡˘o)返信していただいてたのに、気づかずすみません‼︎冷やしたり、水をつけてまた挑戦してみたいと思います‼︎自家製酵母のパン、難しいですがとっても楽しいですね‼︎
ルヴァンリキッド⭐︎作り直してみたんですが、少しずつコツがわかってきたように思います‼︎やっぱり準強力粉に変えてから嵩が増えにくいので、粉をERからE65にして様子を見てみようと思います(๑′ᴗ‵๑)ありがとうございます♪
2023年からこんにちは
このコメントを見つけてくれたら嬉しいです。
レシピをもとにパンを作らせていただきました
残念ながらそもそもオートリーズの段階から全粒粉が多すぎるような感じで、膜が張らずドロドロでしたが気にせずスタート。
案の定ミチミチのパンができました。
石臼引きの全粒粉だったのがダメなのかはよくわかりません。
また、オーブンの性能差でしょうか、230で焼きましたがクープが割れることなく….
窯伸びしませんでした。。泣
このような目の詰まった状態は発酵が足りなかったと思いますか?
焼く前までは見事な発酵状態だったので、原因がオーブン性能としか思えず…
Miyu様
コメントありがとうございます!
返事が遅くなってしまってすみませんm(__)m
全粒粉もものによっては粒度やタンパク値が違いますので、オートリーズの吸水がもっと入るときもありますしその逆もあると思います。
その辺は何度が試していただいて、性質を見極めていただければいいかな、と思います。
オーブン焼成で伸びないのは蒸気が足りなくてクラストが焼き固まってしまうせいもあります。
これはオーブンの性能もありますが、家庭用オーブンではなかなか難しい部分でもあります。
オーブンのスチーム機能や、焼け石に熱湯をかけるなど(オーブンの負担については自己責任となりますが^^;)工夫をして、伸びようとしている生地を焼き固めてしまわないようにした方がよいかもです。
また、発酵までしっかりできていて、焼成で窯伸びしなかったということですが、発酵が行き過ぎて焼成時に伸びる余裕がなかった場合もあります。
もう少し手前で焼成に入ってもいいかもですね。
ハード系のパンを家庭で焼くにはオーブンの工夫が必要不可欠になります。
色々お試しいただいて、ご自分のオーブンをうまく使いこなせるといいですね!