近年では、製パン性の高い外国産小麦より国産小麦にこだわったパン屋も多くなりました。
スーパーで売っている食パンでも、国産小麦にこだわったものが売っていますね。
なぜ、わざわざ国産小麦にこだわっていることを謳っているのでしょう?
外国産小麦と何が違うのでしょうか?
実は、大手のパン屋やスーパーで売ってるほとんどのパンは、外国産小麦を使用しています。
理由は、外国産小麦は製パン性の高さと値段が安いのでコストパフォーマンスがよいこと。
カナダ産やアメリカ産の外国産小麦は、たんぱく含有量が多く日本人好みのふっくらとボリュームのあるパンが焼けます。
スーパーでよく見かける強力粉も、ほとんどが外国産小麦です。
アメリカやカナダの広大な土地では、その気候や土壌により製パン性の高い小麦が育ちます。土地が広く大量に収穫できるので、コストも大幅に抑えられるのでしょう。
一方、国産の小麦の品種はたんぱく含有量が少なくデリケートなため、製パンには向かないと言われていました。
小麦は水にあまり強くないので、湿気の多い日本には不向きと言われています。日本の中でも梅雨のない北海道が小麦の一大産地ですよね。
我が家も農家で小麦を作るのですが、以前雨の多い地域で小麦を栽培したところ、穂発芽してしまったものも多かったです。
それだけ湿気の多い日本では小麦栽培は難しいと言われていました。
ですが、それなのになぜ国産小麦を使ったパンが人気なのでしょう。
調べてみると、その理由はいくつかありました。
【風味の良さ】
よく、国産小麦のパンは風味が違う、と言われます。
国産小麦で焼いたパンは、しっとりとしたキメの細かさやもちもちとした食感で、味わい深いのが特徴です。
しっとりもちもちの食感は、お米に馴染み深い日本人好みでしょう。
やはり自国の風土で作られたものは味覚に合うのでしょうね。
日本での小麦栽培は、一部の地域では昔から行われていました。
そしてうどんやほうとう等になり、昔から食べられていたのです。米が高級品だった昔は、小麦をより多く食べていたそうです。
現在では北は北海道から南は九州まで、国産小麦が栽培されています。
【安全性】
国内産の小麦は、近年の食の安全性を考える流れで需要が増えたのだと思います。
外国産小麦は、使用している農薬や肥料の安全性、収穫後のポストハーベストの心配もあります。
(各製パン会社は使用農薬の安全性については、許容範囲内で厳しい審査を通過した小麦のみ使用している、と謳っています。)
一方で、国内ではポストハーベストは禁止されているため、国内産小麦にはこの心配はありません。
やはり国産に対する信用性は高いのでしょうね。
※ポストハーベストとは、収穫後の製品に直接かける農薬のこと。輸入の際に虫が湧いたりするのを防ぐ目的。
スーパーで売っている輸入かんきつ類などにはよく表示されているのを見かけます。
【技術の向上】
たんぱく含有量の少ない国産小麦でもボリュームが出るように、以前よりも製パン技術が向上した背景があります。
低温での長時間熟成製法など、国産小麦の特徴を活かしやすい製法が使われるようになってきました。
また、国産小麦自体も品種改良などの技術向上により、より製パン性も高くなってきました。
外国産小麦のようにボリュームの出やすい品種も少しづつ増えてきました。
扱いやすい品種が増えたのも、国産小麦の需要が増えた一因でしょう。
まとめると
国産小麦でのパン作りが以前よりやりやすくなったことと、その安全性やおいしさから、徐々に需要が増えてきたのだと思われます。
一方で、外国産小麦の製パン性やお手ごろさ、扱いやすさは変わりありませんので、初心者の方は外国産小麦からチャレンジするのもアリです。
私もパン作りを初めた頃は、スーパーで強力粉を買っていました。
今は国産小麦を中心に選んでいます。
自分の作りたいパンによって、小麦を選んで作ってみるのもパン作りの楽しみですね。
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無化学肥料・無農薬の小麦粉の入手先等ご存知でしたら、教えて頂けると、助かります。
コメントありがとうございます。
無化学肥料、無農薬の小麦の入手先についてですが、一般的な流通は、有機やオーガニックのものが多いですよね。
私が粉を購入しているのは572310.comというサイトで、
こちらでも有機小麦の取り扱いはあります。
また、ムソーさんでも取り扱いあります。
しかし、有機は完全無農薬ではないと思いますし、生産者さんによってピンきりです。
ちなみに、主人は完全無肥料無農薬で自然栽培の小麦、ライ麦、スペルト小麦を作っています。
販売は夏以降になる予定です。
こちらまた決まりましたら、SNSでお知らせしますね。